紹介型読書会開催報告!!

人生が動いた”一冊”、聞かせて!読書会レポート

📚 人生が動いた”一冊”、聞かせて!

紹介型読書会レポート
2024年9月12日 @中野区

参加された3名の方が、それぞれに一冊ずつ、魅力的な作品を紹介してくださりました。異なるジャンル、異なる視点から語られる「人生が動いた一冊」の数々。どの作品も、紹介者の人生に深く刻まれた特別な物語です。

『東のエデン(劇場版)』

アニメで有名な作品。「100億円あったらどうする?」という問いを軸に描かれた社会派の物語です。

実際に考えてみるととても楽しいし、周りの人に聞いても様々なアイディアが出てくる。一方で、100億円という金額自体でできることは案外大規模ではない。日本の国家財政と比べると、かなり微々たるもの。

逆に、税金の使い道や、政治のあり方について考えさせられた作品です。そういう意味ではかなり「人生が変わった」と言えると思い持参しました。劇場版は少し駆け足で上下に分かれていて理解できなかったところもあるが、ゆっくりと書籍で読めた事もあり、お勧めします。

『天官賜福』

中学生の娘とともに読んでいる小説。著者は中国本土にて不当逮捕されたこともあり、台湾の出版社から出版されているそうです。

物語の舞台は神や鬼のいる古代中国。地位の高い人物たちが出てきますが、そういった人物の多くは高い地位を目指すために多くの人々を蹴落としています。現実の競争社会、とくに中国社会を思わせる描写がいくつもあり、そのために著者が逮捕されたと推測されたとか。

人間の非常に美しい部分と同時に、人の中にある醜い部分が描かれていて、そのパワフルな人物たちを見ることで、読んでいる読者自身も自分の中にある感情を肯定されたような感覚になることができ、自分の在り方を認められる作品。

中国文学は、日本の文学よりも、人物像や規模のパワフルさが大きく、良い面と悪い面の現れる幅も大きく、その点が魅力的とのことでした!同じ作者の『魔道祖師』もオススメだそうです。

『豆大福と珈琲』

この本に出会うきっかけとなったのは、高橋源一郎著『1億3000万人のための小説教室』。片岡義男に関しては、他の作家にはない好印象な紹介があり、気になったので書店に行って、『豆大福と珈琲』と出会ったそう。

さっそく目を通すと、なるほど名文。冒頭、ただただ豆大福について書き連ねているのですが、この趣味的な語りだけでするすると読めてしまう。そこには憂さも陰もなく、豆大福を嗜む両手いっぱいの幸福感だけが豊かに描かれているのです。

主人公は34歳の男性で英文の翻訳を生業にしています。彼の人生は、至って幸福。愛情が足りないとか、いじめがあったとか、そういう湿っぽいくだりはありません。

豆大福と珈琲とは、食べ合わせの話だけでなく、異なる男女のマリアージュ。二人は生き方のスタンスを変えることなく、それでいてよりよく生きられる道を見いだしていきます。

片岡氏の文体と作風の特徴は、なんといってもカラッとしていること。近現代の日本文学に多く見られるジメッとした重苦しさが一切ない。いい意味で軽い。

世にある小説の多くが、不幸や業を扱い、人生の逆転やドラマチックな展開を用意しているとしたら、この小説は全くの逆をいくもの。ありのままの幸福を素直に享受するフラットな小説に、人生への意識が変わったのでした。

✨ 新しい読書の世界へ ✨

今回のイベントでは、それぞれジャンルの違う作品が紹介され、参加した一人一人が新しい読書の世界に触れる事が出来ました。

皆様も、気になった本がありましたら是非手に取ってみてください。

「私も語りたい!」「もっと他の人の語りを聞いてみたい!」と思った方は、ぜひ地域文芸なかのが主催する読書イベントに参加してみてください。

地域文芸なかのでは、地域のみなさまが文芸を通して
心の交流を深められるような活動を行ってまいります。

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